犯罪心理学はどんなことを研究するの?
犯罪心理学は,犯罪に関係するさまざまな現象を,心理学的な方法で研究していこうとする分野です。では,犯罪心理学では実際にどんなことが研究されているのでしょうか?
犯罪心理学に関係する研究テーマはとても幅広く,さまざまな種類のテーマがあります。
この背景には,犯罪心理学を応用する場面が,犯罪を未然に防ぐ「防犯」や,犯罪者を捕まえる「犯罪捜査」,そして犯罪者を更生にむけて教育する「矯正」などの多岐にわたることがあります。
また,犯罪心理学の研究が,「心理学」というひとつの学問だけでなく,「生理学」や「精神医学」,「社会学」や「統計学」といった,複数の専門分野にまたがって行われるケースが多いことも関係しています。
なので,一般的に犯罪心理学の研究テーマは,いくつかのグループに分けて示されることが多いです。
その分け方にもいろいろありますが,とくに分かりやすいと思えるのは,原因と結果の分類と,犯罪と向き合う現場の分類です。
以下で,それぞれの分類をご紹介します。
分類1:原因と結果
犯罪者には,犯罪にいたる背景と,その結果として起きる犯罪行為があります。
犯罪行為にいたる背景としては,本人の育った環境や人間関係,心理的な特性,生物学的な特性などが研究されています。
それぞれが,社会学的原因論,心理学的原因論,生物学的原因論として広く研究が行われていて,「なぜ多くの人は犯罪を犯さないのか?(社会学的原因論)」「犯罪は遺伝するのか?(生物学的原因論)」,「暴力的な映像やゲームは人の攻撃性を高めるのか?(心理学的原因論)」などのテーマに取り組んでいます。
犯罪行為についても,おもに統計学的な方法を使って,殺人,放火,レイプなどの凶悪犯罪から,ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーといったより身近な犯罪まで,罪種ごとの特徴や類型(タイプ)が報告されています。
こうした類型も,犯罪者やその行動を理解するうえでとても重要な知識なので,原因論と同様に広く注目を集めている研究分野です。
またこの分野の研究は,犯罪の捜査で行われるプロファイリングと関係するテーマなので,日本国内では,とくに警察で働いている研究者によって行われています。
分類2:犯罪と向き合う現場
by Tony Webster
犯罪心理学は,現場のニーズにこたえながら発展してきた分野でもあります。
犯罪と向き合う現場は,さきほどあげた防犯,捜査,矯正以外にも,犯罪者の刑罰を決める裁判や,社会に戻ってからの自立と更生を支援する更生保護があります。
それぞれが「◯◯(防犯,捜査など)心理学」という独自の分野としてたくさんのテーマを含んでいるので,ここでは代表的なものをご紹介します。
【防犯】
町並みや建物のデザインによる犯罪予防,犯罪多発地域(ホットスポット)の分析
【捜査】
ポリグラフ,プロファイリング,捜査面接(被害者や目撃者の事情聴取,取調べ)
【裁判】
自白・証言の信頼性評価,裁判員の意思決定に影響する要因
【矯正】
性犯罪者のアセスメント,薬物事犯者のアセスメント,矯正プログラムの効果
【更生保護】
更生に向けたカウンセリング,効果的な面接法,保護観察の処遇効果
さいごに
この記事では,犯罪心理学がどういったものかを簡単に説明しました。他の記事では,今回ご紹介した原因論や罪種ごとの類型,現場のニーズにこたえる研究などについて取り上げています。興味があればそちらも確認してみてください。
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