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テロリズムと言えば,宗教的・政治的な過激派組織による無差別乱射事件や爆弾テロを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

ですが,バートルとバートル(Bartol & Bartol, 2012)によれば,じつはアメリカで起きるテロリズムの大部分が国内の単独犯によるローンウルフ型と言われています。

ローンウルフ型のテロリストは,過去の記事でご紹介した他の組織的なテロリストとは明らかに異なる特徴をもっています。

ローンウルフ型の心理

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動機の面では,組織的なテロリズムと同じく,宗教的・政治的な不満が含まれているものの,ローンウルフ型では,ターゲットへの個人的なうらみも同時に含まれているのが特徴です。

かれらは,自分が見つけた不正や不公平な事実に人々の注目を集めるためにテロ行為を行います。ときには他の過激主義者や過激派グループの視点を取り入れることもあり,そうしたグループ自体はテロ行為を行っていなかったり,そもそも暴力的な行動を禁じていたりする場合でも,かれらにとって都合の良い部分だけを取り入れようとします。

また,ローンウルフ型に関する研究では,彼らの多くが感情障害精神障害をもっており,しばしば対人関係や社会性の問題を抱えています。

テロリストの動機による分類では,心理的動機型(psychologically motivated terrorist)に当てはまるタイプとも言われています。

ローンウルフ型の犯罪行動

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たとえば,ローンウルフ型の多くは,どんなテロ組織にも所属せず,単独で犯行におよぶ過激主義者です。

彼らは,なんらかのテロ組織に共感しているケースもありますが,基本的に犯行計画やターゲットの選択はすべて自分で行います。必要な資金もすべて自分でまかなっており,計画はとても緻密に練られていて,犯行後に逃げる方法も計画しています。

もっとも多いターゲットは社会全体(一般市民)です。犯行手段としては,爆発物が一番よく使われ,次に多いのが銃器(けん銃,マシンガンなど)です。

ローンウルフ型は,テロ行為におよぶ前の段階で犯行の意志をだれかに見せることがあまりなく,計画から犯行までを単独で行うことが多いため,事前に逮捕することがむずかしいテロリストと言われています。

ですが,計画段階や準備段階でテロの兆候をつかむことで,犯行を未然に防ぐことは可能であり,とくにテロリズムの研究者には,できるだけ多くの兆候を見つけ出していくことが求められています。
 
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