
by Poindexter Propellerhead
アスペルガー症候群(アスペルガー障害,自閉的精神病質)は,発達障害の1つで,精神障害の国際的な分類(DSM-Ⅳ)では,広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)に分類されます。
アスペルガー症候群では,社会性の低さ(他人との仲間関係を築けない・築こうとしない)やコミュニケーションの障害(アイコンタクトや表情・身振りなどでコミュニケーションが取れない)といった広汎性発達障害の症状をもつ一方で,知的な発達や言葉の発達に遅れがみられないタイプとされています。
また,興味や関心の幅がせまく,とくに昆虫図鑑やプロスポーツ選手の名鑑など,カタログ的な知識に関心を向けることが多いのが特徴で,興味があるものには極端に熱中する傾向があります。
その一方で,他人の気持ちを読み取ったり,相手の気持ちに合わせて行動したりすることができないため,他人との感情的な関係を築くことが難しいのも特徴です。
正しい診断のためには専門家による診断が必要になるため,あくまで参考程度の物にはなりますが,簡単にアスペルガー症候群の傾向を評価するツールとして,オンラインで公開されているAQテストが利用できます。
犯罪との関係
アスペルガー症候群は,幼い時期には気づかれないまま過ごすことも多く,思春期以降に起こったなんらかの問題行動をきっかけとして診断されることも少なくないため,まるで犯罪の原因のように勘違いされることもあります。
ですが,過去の統計的な研究では,広汎性発達障害と犯罪の関連は見つかっていません(安藤, 2011)。
ですから,この障害を不用意に犯罪と結びつけることは避ける必要があります。
事件の責任能力との関係
起こした事件についての刑罰を受けるときには,犯罪者が自分の行為の善悪を判断できる状態で犯行におよんだという,法律的な責任能力のあることが前提になります。
刑法第39条では,精神障害や知的障害,飲酒の影響などで善悪の判断ができない・できにくい状態の者が行った犯罪は,無罪または減刑することを規定しており,発達障害に含まれるアスペルガー症候群と診断された犯罪者についても,そのことが裁判の決定に影響する可能性があります。
ですが,いままでのところ,アスペルガー症候群と診断されたことと責任能力の有無は別問題としてとらえられることも多く,刑務所などの施設でいかに適切な治療を進めるかが,大きなテーマとなっています。
また,障害が重いケースでは,「あなたが殺した相手にもしまた会えたとしたら,何と言いますか」という質問に「『ご苦労様』と言います」と答えるなど,責任能力に疑問がもたれることもあるようです(吉本, 2009)
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